一般財団法人 消防試験研究センター過去問の一部をHPにて公開されています
【問26】危険物の性状
危険物の類ごとの一般的性状について、次の打ち正しいものはどれか。
1. 第1類の危険物は、いずれも水によく溶ける物質で、木材、紙などに染み込み、乾燥すると爆発する危険性がある。
2. 第2類の危険物は、いずれも固体の無機物質で、酸化剤と接触すると爆発する危険性がある。
3. 第3類の危険物は、いずれも酸素を含有しているので、自己燃焼を起こしやすい。
4. 第4類の危険物は、いずれも炭素と水素からなる化合物で、引火性の液体である。
5. 第5類の危険物は、いずれも可燃性の固体または液体で、引火性の物質である。
【解答5】
誤った記述です。
第1類危険物は酸化性固体です。
第1類危険物の多くは水によく溶けます。
しかし、塩素酸カリウムは水には溶けにくい物質(熱水には溶けやすい)ですし、重クロム酸カリウムも水には溶けにくい性質です。
誤った記述です。
第2類危険物は引火性固体です。
第2類危険物の多くは選択肢の通りですが、第2類危険物の引火性固体に分類される固形アルコールなどは有機物質であり、無機物質ではありません。
誤った記述です。
第3類危険物は自然発火性及び禁水性の固体または液体です。
第3類危険物には金属カリウムや金属ナトリウム、黄リンなど酸素を含有していない物質が含まれます。
誤った記述です。
第4類危険物は引火性液体です。
第4類危険物の多くは炭素と水素からなる物質ですが、二硫化炭素(CS2)には水素が含まれていません。
正しい記述です。
第5類危険物は自己反応性の固体または液体であり、正しい記述です。
【問27】第6類危険物の貯蔵および取扱い
第6類の危険物のすべてに共通する貯蔵および取扱いの方法として、次のうち誤っているものはどれか。
1. 皮膚を保護して取り扱う。
2. 通風の良い場所で取り扱う。
3. 酸化されやすい物品と同一場所で貯蔵しない。
4. 冷暗所に貯蔵する。
5. 容器で貯蔵するときは、通気孔が設けてある容器を使用する。
【解答5】
正しい記述です。
第6類危険物は皮膚腐食性があるため、皮膚の保護具を着用して取り扱う必要があります。
正しい記述です。
蒸気にも皮膚腐食性や刺激性があるため、通風の良い場所で取り扱う必要があります。
正しい記述です。
第6類危険物は酸化性液体のため、酸化されやすい物質と一緒に貯蔵してはいけません。
正しい記述です。
基本的に物質を直射日光中で保管することはありません。
第6類危険物のうち、硝酸や過酸化水素は光により分解してしまします。
誤った記述です。
第6類危険物の過酸化水素は通気口のある容器に保管する必要がありますが、その他は通気孔を設けてはいけません。
【問28】第6類危険物の性状
第6類の危険物の共有した性状について、次のうち正しいものはどれか。
1. 加熱すると、酸素を発生する。
2. 不燃性である。
3. 比重は1より小さい。
4. 摩擦、衝撃により爆発しやすい。
5. 無音、無臭である。
【解答2】
誤った記述です。
第6類危険物は加熱しても酸素は発生しません。
正しい記述です。
第6類危険物は酸化性液体であり、不燃性です。
誤った記述です。
第6類危険物は比重が1より大きく、水より重たい物質です。
誤った記述です。
第6類危険物は不燃性ですので、摩擦や衝撃等により爆発しやすいといった特徴はありません。
誤った記述です。
第6類危険物のうち、過塩素酸は刺激臭を有していますし、過酸化水素はオゾン臭があります。
また、硝酸やハロゲン間化合物(一フッ化臭素や三フッ化臭素など)は有色の物質です。
【問29】第6類危険物の火災予防
第6類の危険物の火災予防、消火の方法として、次のうち誤っているものはどれか。
1. 酸化力が強いので、可燃物との接触を避ける。
2. 火気や日光の直射を避けて貯蔵する。
3. 自己燃焼性があり、不安定で衝撃、摩擦等により爆発するので取扱いには十分に注意する。
4. 貯蔵する容器は耐酸性のものを使用する。
5. 一般に水系の消火剤を使用するが、水と反応するものには使用を避ける。
【解答3】
正しい記述です。
第6類危険物は酸化性液体であり、可燃物との接触を避けましょう。
正しい記述です。
第6類危険物の貯蔵では火気や直射日光を避けましょう。
誤った記述です。
第6類危険物には自己燃焼性はありません。第6類危険物は不燃性です。
自己燃焼性があるのは第3類危険物です。
正しい記述です。
第6類危険物は酸化性液体ですので、耐酸性の容器に保存が必要です。
正しい記述です。
第6類危険物の火災では基本的には多量の水で消火します。
ただし、三フッ化臭素や五フッ化臭素は水と激しく反応するため、水による消火は適さず、粉末消火剤や乾燥砂を使用します。
【問30】過塩素酸の貯蔵及び取扱い
過塩素酸の貯蔵および取扱方法について、次のうち誤っているものはどれか。
1. 容器は密封し、風通しのよい乾燥した冷所に貯蔵する。
2. アルコール、酢酸などの有機物と一緒に貯蔵しない。
3. 濡れたときはおがくずやぼろ布で吸収する。
4. 腐食性があるので、鋼製の容器に直接収納しない。
5. 皮膚に触れた場合は、激しい薬傷をおこすので、取扱いの際は十分注意が必要である。
【解答3】
正しい記述です。
過塩素酸は容器を密封し、風通しのよい乾燥した冷所に貯蔵しましょう。
正しい記述です。
過塩素酸は酸化力が強いため、有機物を酸化し、発火する可能性があります。
誤った記述です。
おがくずやぼろ布などの可燃物・有機物に過塩素酸を接触させると、急激に酸化して発火、爆発する可能性があります。
正しい記述です。
過塩素酸は腐食性がありますので、鋼性の容器は使用できません。
耐酸性の容器を使用しましょう。
正しい記述です。
過塩素酸には皮膚腐食性があるため、皮膚に接触すると薬傷(薬品による火傷)になってしまいます。
適切な保護具を着用して取扱いましょう。
万が一皮膚にかかってしまった場合には、大量の水で幹部を洗い流してください。
【問31】第6類危険物の性質
第6類の危険物と性質の組合せとして、次のうち誤っているものはどれか。
1. 五フッ化臭素・・・水と反応してフッ化水素をつくる。
2. 過塩素酸・・・金属によっては反応して過塩素酸塩をつくる。
3. 過酸化水素・・・還元剤として働くことがある。
4. 三フッ化臭素・・・水と反応して酸素を発生する。
5. 濃硝酸・・・鉄と反応して激しく水素を発生する。
【解答5】
正しい組合せです。
五フッ化臭素は水と反応してフッ化水素を生成します。
正しい記述です。
過塩素酸はイオン化傾向の高い金属(鉄や銅)と反応して過塩素酸塩を生成します。
正しい記述です。
過酸化水素は酸化剤としても還元剤としても働く特徴的な物質です。
正しい記述です。
三フッ化臭素は水と激しく反応して酸素を発生するため、火災を助長する性質があります。
誤った記述です。
まず、硝酸は希硝酸と濃硝酸で性質が異なります。
希硝酸であれば、鉄と反応して水素を発生するので正しい記述ですが、濃硝酸は金属の表面に不動態を生成するため反応が進みません。
【問32】硝酸の性状
分子式がHNO3で示される危険物の性状等について、次のうち誤っているものはどれか。
1. 酸化力は、極めて強い。
2. 有機物に接触すると、有機物を発火させるおそれがある。
3. 湿気を含む空気中で発煙する。
4. 皮膚に触れた場合、薬傷を起こす。
5. 光や熱では分解されないので、透明のびんで保存する。
【解答5】
正しい記述です。
硝酸は酸化力が極めて強い物質です。
正しい記述です。
硝酸に限らずですが、酸化力が強い有機物に接触することで発火する可能性があります。
正しい記述です。
硝酸は湿気を含む空気に接触すると褐色の煙が出ます。
正しい記述です。
硝酸は皮膚腐食性があるため、皮膚に接触すると薬傷を引き起こします。
誤った記述です。
硝酸は光や熱により分解されて黄褐色になり、分解して窒素酸化物や酸素を発生します。
直射日光を避けるため、褐色瓶に保管が必要です。
【問33】三フッ化臭素の性状
三フッ化臭素の性状について、次のうち誤っているものはどれか。
1. 空気中で木材、紙などと接触すると発熱反応をおこす。
2. 水と激しく反応する。
3. 多くの金属と激しく反応する。
4. 常温(20℃)では液体である。
5. それ自体は爆発性の物質である。
【解答5】
正しい記述です。
酸化性液体である三フッ化臭素は、可燃物(木材や紙など)と接触して発熱反応→発火する可能性があります。
正しい記述です。
三フッ化臭素は水と激しく反応し、酸素を発生します。
また、発生した酸素が火災を助長するため、水系の消火剤が使用できません。
正しい記述です。
正しい記述です。
三フッ化臭素に限らず、第6類危険物は酸化性液体ですので、常温では液体です。
誤った記述です。
硝酸自体に爆発性はありません。
【問34】過酸化水素との混合
次の物質を過酸化水素に混合したとき、爆発の危険性がないものはどれか。
1. 鉄
2. クロム
3. エタノール
4. 二酸化マンガン
5. リン酸
【解答5】
リン酸は過酸化水素の安定剤として使用されます。
よって、混合しても爆発の危険性はありません。
過去問を活用して理解度を深めよう!