公的年金制度がどんな時に力を発揮するのか
実際にどれくらいの保障があるのかを確認していきましょう!
老齢給付
老齢給付には 老齢基礎年金 と 老齢厚生年金 に別れます
老齢基礎年金
老齢基礎年金は国民年金(基礎年金)の対象となる被保険者が受け取ることができます
国民年金は第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者全てが加入していますので、実質全員が対象となる、ということです
老齢基礎年金の受給資格
老齢基礎年金を受給するためには、受給資格期間が10年以上必要です
受給資格期間とは、保険料納付済期間に加え、保険料の免除期間、合算対象期間を合わせた期間を言います
合算期間
年金額には反映されないが、受給資格期間に含めることができる期間
具体的には
国民年金が「任意加入」だった期間
海外に住んでいた時期
老齢基礎年金の受給額
老齢基礎年金の年金受給額は 物価スライド方式 で計算されます
物価スライド方式とは、物価の変動に合わせて受給額が変わる、というものです
同じ1万円でも、物価が安いとき(パンが100円のとき)と物価が高いとき(パンが150円のとき)では、お金の価値が違いますよね
その物価の差を考慮するのが物価スライド方式です
老齢基礎年金は、満額780,900円/年に物価スライド方式の改定率を掛けて計算されます
満額とは、40年間分の国民年金保険料を収めた場合に支払われる金額です
よって支払った期間に合わせて支給額が減額されていきます
20年間保険料を収めた場合は390,450円/年となります
老齢基礎年金の受給開始時期
老齢基礎年金の受給は原則65歳からです
ただし 繰り上げ受給 と 繰り下げ受給 という制度があります
繰り上げ受給
60~64歳のタイミングで受給を開始することができます
この場合、繰り上げた月数×0.5%が年金額から減算されます
60歳から受給を開始した場合、60ヶ月繰り上げたことになるので、30%(60ヶ月×0.5)が減額されます
⇨ 780,900×70%=546,630円/年
繰り上げ受給した場合、65歳以降にもらえる年金額も減額された金額となります
繰り下げ受給
66~70歳のタイミングで受給を開始することができます
この場合、繰り上げた月数×0.7%が年金額に加算されます
70歳から受給を開始した場合、60ヶ月繰り下げたことになるので、42%(60ヶ月×0.7)が増額されます
⇨ 780,900×142%=1,108,878円/年
ちなみに、2022年4月以降は75歳まで受給を繰り下げることが可能になります(84%増額)
老齢厚生年金
老齢厚生年金は厚生年金の対象となる被保険者が受け取ることができます
厚生年金は第2号被保険者が加入しています
老齢厚生年金の受給額
老齢厚生年金の受給額は収めた保険料により決まります(報酬比例部分)
保険料は給料によって決まりますので、給料が多ければ多いほど受給額も増えることになります
報酬比例部分は以下の計算式で算出されます
平均標準報酬額(ボーナス含む)×給付乗率÷1000×被保険者期間の月数
給付乗率とは、過去の賃金水準や物価を加味するためのものです
老齢厚生年金の受給開始時期
老齢基礎年金の受給は原則65歳からです
ただし 繰り上げ受給 と 繰り下げ受給 という制度があります
繰り上げ受給
60~64歳のタイミングで受給を開始することができます
この場合、繰り上げた月数×0.5%が年金額から減算されます
60歳から受給を開始した場合、60ヶ月繰り上げたことになるので、30%(60ヶ月×0.5)が減額されます
繰り上げ受給した場合、65歳以降にもらえる年金額も減額された金額となります
老齢厚生年金を繰り上げ受給する場合、老齢基礎年金も同時に繰り上げ受給をする必要があります
繰り下げ受給
66~70歳のタイミングで受給を開始することができます
この場合、繰り上げた月数×0.7%が年金額に加算されます
70歳から受給を開始した場合、60ヶ月繰り下げたことになるので、42%(60ヶ月×0.7)が増額されます
老齢厚生年金を繰り下げ受給する場合、老齢基礎年金は繰り下げ受給する必要がありません
加給年金
加給年金は、老齢厚生年金受給者であって、配偶者(65歳未満)または子(18歳になって最初の3月末まで)がいる場合に支給されます
加給年金の受給要件
被保険者により生計維持している配偶者または子がいる
加給年金の受給額
配偶者:224,900円/年
第1子、第2子:224,900円/年
第3子:75,000円/年
配偶者が65歳以上になると加給年金の支給は停止されますが、代わりに配偶者の老齢基礎年金に振替加算が行われます
在職老齢年金
60歳以降で、働きながら(厚生年金に加入しながら)老齢厚生年金を受け取る場合を在職老齢年金と呼びます
在職老齢年金は貰う予定であった年金額と、その期間に受取る給料に応じて、年金の支給有学が減額されます
減額は、老齢厚生年金支給額(基本月額)と総報酬月額相当(給料)の合算した支給額によって計算されます
基本月額と総報酬月額相当が28万円以下であれば、老齢厚生年金の減額はありません
28万円を超える場合は一定額が減額されることになります
障害給付
障害給付では、病気やケガをした場合に、障害年金や障害手当金をもらうことができます
障害基礎年金
第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者であって、後述の受給要件を満たす場合に障害基礎年金が給付されます
障害基礎年金の受給要件
以下の2点を満たす場合に障害基礎年金が給付されます
初診日に国民年金の被保険者であること
障害認定日に障害等級1級または2級であること
障害基礎年金の受給額
1級:781,700円/年×1.25+子の加算額
2級:781,700円/年+子の加算額
子の加算額
第1子、第2子:各224,900円/年
第3子:75,000円/年
障害厚生年金
第2号被保険者であって、後述の受給要件を満たす場合に障害厚生年金が給付されます
障害厚生年金の受給要件
以下の2点を満たす場合に障害厚生年金が給付されます
初診日に厚生年金の被保険者であること
障害認定日に障害等級1級、2級または3級であること
障害厚生年金の受給額
1級:報酬比例支給額×1.25+配偶者加給年金額
2級:報酬比例支給額+配偶者加給年金額
3級:報酬比例支給額
障害手当金:報酬比例支給額×2を一時金として支給
遺族給付
遺族給付では、被保険者または被保険者であった者(老齢厚生年金の受給者)が死亡した場合に、遺族の生活保障として給付が行われます
遺族基礎年金
国民年金の加入者(第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者)が死亡した場合で、後述の受給要件を満たす場合に遺族基礎年金が給付されます
遺族基礎年金の受給要件
以下の4点のいずれかに該当する場合に遺族基礎年金が支給されます
国民年金の被保険者が死亡したとき
国民年金の被保険者であった60~65歳の人が死亡したとき(国内に住所を有する場合のみ)
老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき(ただし、受給資格期間が25年以上の人のみ)
老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上の人が死亡したとき
遺族基礎年金の受給範囲
遺族基礎年金が受給できるのは以下に該当する人です
子(18歳になって最初の3月末まで)
子(18歳になって最初の3月末まで)のある配偶者
遺族基礎年金の受給額
781,700円/年+子の加算額
第1子、第2子:各224,900円/年
第3子:75,000円/年
また、第1号被保険者に対する独自の給付として 寡婦年金 と 死亡一時金 があります
寡婦年金と死亡一時金はどちらか一方しか受給できません
寡婦年金
第1号被保険者として受給資格期間(10年)を満たしている夫が、年金を受け取らずに死亡した場合に、妻に給付される
死亡一時金
第1号被保険者として3年以上保険料を納付した人が年金を受け取らずに死亡し、遺族が遺族基礎年金を受け取ることができない場合に給付される