今回は社会保険のうち年金保険について解説していきます
この記事では社会保険(公的保険)を中心に扱います
社会保険の種類
社会保険は大きく2つに分類され、さらに細分化されると5種類になります
社会保険(広義)
社会保険(狭義)
- 医療保険
- 介護保険
- 年金保険
労働保険
- 労災保険
- 雇用保険
年金保険の基礎|公的年金制度
公的年金保険は、被保険者の老齢・障害・死亡時に給付が行われる制度です
年金制度は2階建てとなっています
2階建てというのは・・・
1階:国民年金(基礎年金)
2階:厚生年金
それでは詳しく見ていきましょう!
国民年金(基礎年金)とは
国民年金(基礎年金)は、20歳~59歳の全ての人(日本在住)が加入します
厚生年金とは
厚生年金は、会社員や公務員などサラリーマンが加入します
被保険者:保険の適用を受ける者(保険で守られる人)保険者:保険を運用する者
公的年金保険の被保険者と保険者
公的年金保険の被保険者は以下の3種類に分類されます
- 第1号被保険者
- 第2号被保険者
- 第3号被保険者
公的年金保険を運営する保険者は国です
第1号被保険者と保険料
第1号被保険者の対象は自営業者や学生、無職の人です
ざっくり言えばサラリーマン(被雇用者)以外ですね
保険料:一律で16,610円(2021年度時点)
第2号被保険者と受給者
第2号被保険者の対象は会社員や公務員などのサラリーマン(被雇用者)です
第2号被保険者には年齢の下限がないため、20歳未満でもサラリーマンであれば対象となります
保険料は標準月額報酬及び標準賞与額に保険料率をかけて計算されます
保険料率:18.30%(2021年度時点)
保険料は事業主(会社)と被保険者(サラリーマン)が半分ずつ支払います
⇨ 労使折半
厚生年金の保険料は給与から天引きされます
また、厚生年金保険料に国民年金保険料も含まれるため、別に国民年金保険料(16,610円)を収める必要はありません
第3号被保険者と受給者
第3号被保険者の対象は、第2号被保険者の被扶養配偶者(専業主婦、専業主婦など)です
配偶者なので、被扶養者であっても子供は含まれません
保険料の負担はありません
なぜなら、第2号被保険者が負担しているからです
保険料の免除・猶予・滞納
第1号被保険者であって、保険料の納付が困難な人のために、保険料の免除または猶予(後払い)が可能な制度があります
法定免除
届け出をした場合に、期間中の保険料の納付が免除されます
1, 2級の障害基礎年金、障害厚生(共済)年金を受けている
生活保護法の生活扶助を受けている
ハンセン病療養所などで治療を受けている
保険料の納付は免除されるが、将来受給できる年金額は減額されます
⇨ 法定免除の期間も保険料を納付することで減額を回避できます
申請免除
失業などの経済的な理由で保険料の納付が困難な場合、申請をして受理されると、期間中の保険料納付が一定額免除されます
免除額は、本人、世帯主、配偶者の所得審査結果により4段階で変わります
全額免除
3/4免除
半額免除(1/2免除)
1/4免除
保険料の納付は免除されるが、将来受給できる年金額は減額されます
⇨ 所得が回復した後、追納することで減額を回避できます
学生納付特例
20歳になると日本に住む人は全員国民年金に加入して、保険料を収めなければなりません
しかし、20歳を超える大学生などは、在学中の保険料納付が猶予されます
ただし、猶予を受けるためには申請が必要です
猶予期間の保険料は、卒業後10年以内であれば追納することが可能です
⇨ 追納しない場合は年金受給額が減額されます
20歳以上の子供がいる親は、子供の代わりに保険料を納付することができます
⇨ 所得税や住民税について、社会保険料控除を受けられます
納付猶予制度
50歳未満で、本人及び配偶者の所得が一定の基準以下の場合に、保険料の納付が猶予されます
猶予を受けるには申請が必要です
免除と猶予の違い
免除は納付しなくても、所定の保険料の一部を納付したことになります
全額免除であれば、もともと納付予定だった金額の1/2を支払ったことになる
⇨ 支払ってない分だけ、年金受給額が減る
猶予は納付しなかった場合、納付したことになりません
あくまで、ツケです
⇨ ツケを払わなければ、年金受給額が減る
免除も猶予も、10年以内であれば追納が可能です
追納すれば、年金受給額の減額はありません
滞納
課せられた保険料を支払わないことを滞納と呼びます
第2号被保険者は給与天引き、第3号被保険者は年金保険料の負担がないため、問題となるのは第1号被保険者です
保険料を滞納すると、年金支給がなくなる場合があります
⇨ 年金受給するためには最低10年の納付が必要
また、資産がある場合には日本年金機構により差し押さえ、となる場合があります
公的年金保険の給付内容
公的年金保険は、3種類に別れます
- 老齢年金
- 障害年金
- 遺族年金
それぞれどんな給付なのか確認していきましょう!
老齢年金
年金と聞いて最もイメージしやすいのが老齢年金でしょう
老齢年金は原則65歳から受け取れる年金です
国民年金分は被保険者の種類によらず定額です
それに対し、厚生年金は給与により保険料も変わるため、収めた保険料によって増減します
年金制度は積立ではありません
つまり。現在支払っている年金保険代が年をとったら帰ってくるわけではないということです
現在支払っている年金保険代は、今 年金を受給している人に支払われます
障害年金
被保険者が、病気やケガ等により生活や仕事が制限される程度の障害を負った場合に給付されます
障害年金を受ける場合は、国民年金保険料は免除となります
遺族年金
被保険者がなくなった場合、被保険者により生計を立てていた(扶養されていた)【子のある配偶者】または【子】に給付されます
子とは
18歳以下
20歳未満で障害等級が1級か2級
結婚していない
子のいない配偶者は対象となりません
障害年金を受ける場合は、国民年金保険料は免除となります
公的年金の税金
公的年金の保険料は社会保険料となるため、支払った全額が社会保険料控除の対象となります
保険料分が所得から控除されるため、所得に対して課せられる所得税は住民税が少なくなります
しかし、老齢給付をとして支払われる年金は雑所得となるため、所得に加算されて課税対象となります
※ 公的年金等控除が適用されます
なお、障害年金や遺族年金の給付は非課税です