燃焼範囲:可燃性蒸気が空気中で燃焼可能な混合率
引火点:可燃性蒸気が燃焼範囲の濃度まで気化する温度(熱源がないと燃焼しない)
発火点:空気中で可燃性蒸気が自ら燃焼を始める温度(熱源がなくても燃焼する)
燃焼範囲(爆発範囲)とは
燃焼をするには酸素供給源(基本的には空気)が必要です。
空気が少なすぎる(酸素が供給されない)と燃焼はできませんし
空気が多すぎても燃焼する物自体が希薄になってしまい燃焼できません。
つまり、《可燃性蒸気と空気の間には燃焼に最適な混合率の範囲》が存在しています。
この混合率の範囲を燃焼範囲(爆発範囲)と呼びます。
燃焼下限界(爆発下限界)
燃焼範囲の混合率のうち最も低濃度(空気が多い)のところを燃焼下限界(爆発下限界)と呼びます。
可燃性蒸気の混合率が燃焼下限界未満となると、燃焼は起きません。
燃焼上限界(爆発上限界)
燃焼範囲の混合率のうち最も高濃度(空気が少ない)のところを燃焼上限界(爆発上限界)と呼びます。
可燃性蒸気の混合率が燃焼上限界を超えると、燃焼は起きません。
引火点とは
可燃性液体は液面から常に気化(蒸発)し、空気中に可燃性蒸気が放出されます。
また、可燃性液体の温度が高いほど気化する可燃性蒸気の量は増えていきます。
放出された《可燃性蒸気と空気の混合率が燃焼範囲に入る温度》を引火点と呼びます。
引火点に到達した場合、可燃性蒸気が燃焼可能な状態になりますが、それだけでは燃焼は起こりません。
燃焼範囲に入った状態で炎や火花を近づけることで、初めて燃焼が発生します。
発火点とは
《可燃性蒸気が燃焼範囲に入り、加熱により、炎や火花無しで自ら発火する温度》を発火点と呼びます。
自然発火とは
《物質が常温の空気中で自然に発熱し、その熱により発火点に到達して発火すること》を自然発火と呼びます。
放置されたタイヤが劣化(酸化)して酸化熱が発生したり、肥料などが発酵する発酵熱などが自然発火の原因となります。
燃焼のしやすさ
燃焼しやすい状態
燃焼しやすい条件は以下のような場合です。
・周囲環境や燃焼性物質の温度が高い→【熱源】
・燃焼性物質が粉状、霧状になっている→【酸素との接触面積】
・空気中の水分が少ない→【乾燥】
燃焼しやすい性質
燃焼しやすい物性は以下のようなものです。
・燃焼範囲に到達しやすい→【気化しやすい】
・酸素と反応する→【酸化しやすい】
・熱を溜め込みやすい→【熱伝導率が低い】
・少ないエネルギーで温度が上がりやすい→【比熱が小さい】
・燃焼範囲の下限(燃焼下限界)が低く、燃焼上限界が高い→【燃焼範囲が広い】
混合危険
2種類以上の物質が接触・混合して発火(爆発)するおそれがある場合を言います。
以下のような場合が混合危険になります。
・酸化性物質と還元性物質
・反応して爆発性物質を生成する組合せ
・アルカリ金属と水