沸点上昇・凝固点降下:溶媒に溶質を溶かすと沸点(沸騰する温度)が上昇し、凝固点(凝固する温度)が低下する
絶対温度:温度表記で単位はK(ケルビン) (0K=-273℃ → 27℃=300K)
沸点上昇・凝固点降下
まず溶媒、溶質、溶液の違いを覚えておきましょう。
溶媒:水など物質を溶かす物質
溶質:溶媒に溶ける物質
溶液:溶媒に溶質を溶かした液体(溶媒が水の場合を水溶液といいます)
詳細については溶解度で解説しています。
沸点上昇
はでは、まず沸騰とは何でしょうか?
沸騰とは液体が気体になる現象でしたね。
液体の表面からは溶媒の分子が飛び出して行きます(気体になっていく)、これが蒸発(気化)です。
液体を加熱すると表面から飛び出していく分子がどんどん多くなり、発生する気体の圧力が大きくなります。これを蒸気圧といいます。
蒸気圧が大気圧と同じになると液体を押さえつけている大気圧を破ることができるので一気に分子が飛び出していきます、これが沸騰です。
大気圧が低い場所(山の上)では蒸気圧が低い段階で蒸発するので、低い温度(エネルギーが少ない)で沸騰します。
山の上では水は加熱しても100℃にならないのでカップラーメンを作っても地上より上手に作ることができないし、米を炊いても生煮えになったりしますよ。
では本題の沸点上昇ですが、沸点上昇は溶媒に(不揮発性)溶質を溶解することで起こります。
溶質は溶媒の表面にも存在するので、表面にある溶媒分子が減ってしまいます。
そうすると表面から飛び出していく分子が減ってしまいます。
そのため、蒸気圧が大気圧に達するまでには溶媒単体であったときと比較して多くのエネルギー(高い温度)が必要になります。これが沸点上昇です。
溶質の量が多くなるほど溶液の表面に存在する溶質の比率が上昇しますので、沸点は高くなっていきます。
これが沸点上昇です。
パスタ茹でるとき塩入れたりしますよね?このとき沸点上昇が起こるので、沸騰した水は100℃以上となっています。
凝固点降下
では凝固点降下とはなんでしょうか?
凝固とは液体が固体になる現象でしたね。
液体が固体になるとは、分子同士の距離が近くなることです。温度が低くなるほど分子の運動が鈍くなり、分子同士の距離が近くなります。
溶媒中に溶質が存在すると、溶媒の分子同士が近づくことが妨害されるためより温度が低くならないと溶媒の分子が近づくことができません。これが凝固点降下です。
小学校のとき、試験管にジュースを入れて、周りに塩をかけた氷を置くことでアイスキャンディ作ったりしませんでしたか?
これは氷に塩を入れることで凝固点降下を起こし、氷の温度が0℃(273K)より低くなることを利用しています。
絶対温度
絶対温度とは温度の表し方の一つです。
みなさんがよく目にするのは摂氏(℃)ですね。他に華氏(°F)も聞いたことがあるかもしれません。ただ、物理化学でよく使用される単位はケルビン(K)です。Kと℃は同じ尺度なので結構わかりやすいんです。
水は氷になる温度は0℃ですね。これを絶低温度で表すと273Kとなります。つまり℃に273を足した値が絶対温度となります。
絶対零度も聞いたこともありますよね。これは0Kということです。絶対零度を℃で表すと-273℃で表されます(なので正しくは絶対温度-273が℃でしょうね)。
本日の最高気温は27℃でしたので、これを絶対温度で表すと最高気温300Kと、すごい数字になります。
余談ですが華氏は絶対温度(K)を1.8で割った値になります。そのため華氏と絶対温度(や摂氏)とは尺度が異なっています。