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熱化学方程式、ヘスの法則、ル・シャトリエの原理

熱化学方程式・ヘスの法則・ルシャトリエの原理

熱化学方程式:化学反応式に反応熱を加味したもの

ヘスの法則(熱量保存の法則):反応熱の総量は反応経路に依らず一定

活性化エネルギー:反応を進めるために必要な最小のエネルギー

ル・シャトリエの原理:平衡状態にある可逆反応において、条件(濃度、温度、圧力)を変えると、変化した条件を打ち消す方向に平衡が移動する

熱化学方程式

ふかふか
ふかふか
化学反応式と一緒に見えるけど・・・?
Mt.フジ
Mt.フジ
たしかに化学反応式と熱化学方程式はそっくりです
Mt.フジ
Mt.フジ
だからこそ、違いをしっかりと把握しましょう

熱化学方程式を書くには4つのルールを覚えることが重要です。

ここでは、熱化学方程式のルールについて確認していきましょう。

化学反応式との違いに注意

 

ルール1

出発物質(反応前の物質)は左辺

生成物質(反応後の物質)は右辺

左辺と右辺をつなぐのはイコール(=)

 

ルール2

基準となる物質の係数を1とする

→係数は分数となる場合が発生する

係数が1の場合は1を省略する

 

ルール3

化学式の後ろに物質の状態を記載する。

気体であれば(気)や(g) ← Gas

液体であれば(液)や(l) ← Liquid

固体であれば(固)や(s) ← Solid

 

ルール4

右辺の生成物質の後に反応熱を記載する

発熱反応は【+】、吸熱反応は【-】で記載する

では、上のルールを基に化学反応式を書いてみましょう。

例)黒鉛が燃焼して一酸化炭素が発生する

<ルール1>

出発物質を左辺、生成物質を右辺に記載し=で繋ぐ

C+O2=CO

 

<ルール2>

係数をつける(今回の場合は基準物質は一酸化炭素)

C+1/2O2=CO

 

<ルール3>

物質の状態を記載する

C(s)+1/2O2(g)=CO(g)

 

<ルール4>

反応熱を記載する

C(s)+1/2O2(g)=CO(g)+111 kJ

ちなみに、化学反応式で記載すると・・・

2C+O2→2CO となります。

反応熱

反応熱にはいくつかの種類があります。

ここでは化学変化の種類によって反応熱を分類していきます。

燃焼熱

物質1molが完全燃焼するときに発生する熱量

生成熱

化合物(生成物質)1molが成分元素の単体から生成すときに発生(吸収)する熱量

分解熱

物質1molが分解するときに発生(吸収)する熱量

中和熱

酸と塩基(アルカリ)の中和反応で発生する熱量

溶解熱

物質1molを多量の溶媒に溶かすときに発生(吸収)する熱量

 

燃焼熱・生成熱・分解熱・中和熱は化学変化に伴う熱量です。

それに対して、溶解熱は物理変化に伴う熱量です。

中和熱・生成熱・分解熱の例

ヘスの法則

ヘスの法則とは《反応熱の総量は反応経路に依らず一定》という法則です。

物質AからBに変化する反応があるとします。

AからBに変化する反応経路として2つのパターンがある場合、どちらの経路を通っても最終的な熱量の収支は等しくなる(A→Bに必要な熱量は同じ)ということです。

模式図に表すと下のようになります。

ヘスの法則

では実際の反応を基に確認してみましょう。

例)炭素が燃焼して二酸化炭素になる。

ヘスの法則2

活性化エネルギー

活性化エネルギーとは《反応を進めるために必要な最小のエネルギー》のことです。

化学反応では反応物質から生成物質が出来る段階で活性化状態を経ます

活性化状態は反応物質や生成物質よりも内部エネルギーが高い状態となっています。

活性化エネルギー以上のエネルギーを反応系に与えることで、活性化状態に遷移することが出来ます。

触媒

触媒は活性化エネルギーを変化させる作用があり、反応に必要なエネルギー量を変化させる作用がある物質を言います。

基本的には活性化エネルギーを減少させて反応を早くする物質を指しますが、逆に活性化エネルギーを増加させて反応を遅くする物質もあります。

反応を早める触媒を正触媒、遅くする触媒を負触媒と呼びます。

触媒そのものは変化しないため化学反応式や熱化学方程式では表されることがありません。

触媒反応

反応の種類

正反応と逆反応

化学反応式を見たとき、左辺から右辺への反応を正反応と言います。

逆に右辺から左辺への反応を逆反応と言います。

正反応は(→)で表し、逆反応は(←)で表します。

可逆反応と不可逆反応

可逆反応は正反応と逆反応が同時に進行する反応を言います。

不可逆反応とは正反応のみ(または逆反応が極端に遅い)の反応を言います。

化学平衡

可逆反応系においては正反応の速度と逆反応の速度によって左辺と右辺のバランスが取られています。

一方の辺の比率が高くなっている場合、時間経過とともに左辺と右辺のバランスが取られる方向に反応が進みます。

バランスが取られた状態になると見かけ上反応が止まっているように見え、これを化学平衡に達したと言います。

化学平衡に達した場合も、正反応と逆反応は常に起こっています。

ル・シャトリエの原理

ル・シャトリエの原理とは《平衡状態にある可逆反応において、条件(濃度、温度、圧力)を変えると、変化した条件を打ち消す方向に平衡が移動する》というものです。

ここではそれぞれの条件変化によって化学平衡がどうなるか、確認しましょう。

濃度の変化

化学平衡にある反応系のある成分を増加させた場合、その成分を減少させる方向に反応がある程度進み、再び平衡状態に達します。

逆にある成分を減少させた場合は、その成分を増加させる方向に反応が進みます。

温度の変化

正反応が発熱反応の場合、逆反応は吸熱反応になります。

反応系に熱を加えた場合は熱を減らす方向に反応が進みますので、吸熱反応が進みます。

逆に反応系の熱を奪うと奪われた熱量を補うために発熱反応が進行します。

圧力の変化

アボガドロの法則を思い出してみましょう。

1molの物質であれば、酸素であっても二酸化炭素であっても体積は同じ(22.4 L(1atm))です。

反応系で両辺に気体が含まれる場合、圧力を加えると分子数を減らす(圧力が減る)方向に反応が進みます。

逆に圧力を減らすと分子数が増える方向に反応が進みます。

 

例)アンモニアの合成反応

化学平衡

N2の濃度を上げる

→ N2濃度を下げるほうに平衡が移動

→→ 正反応が進む

 

加温する(エネルギーを加える)

→ 温度を下げる方向(吸熱反応)に平衡が移動

→→ 逆反応が進む

 

加圧する

→ 圧力を下げる(分子数を減らす)方向に平衡が移動

→→ 正反応が進む

 

Mt.フジ
Mt.フジ
ではでは、 本日はこのへんで、きげんよう!